相続放棄という言葉を聞いたことがおありでしょうか。
被相続人が亡くなった場合、相続人には被相続人の預貯金や不動産などのプラスの財産のみならず、被相続人が生前背負っていた債務や、保証人としての地位までも移転します。したがって被相続人が多大な債務を抱えていたような場合には、相続人は思わぬ不利益を被ってしまします。
そこで、民法は相続放棄の制度を設けました。
相続放棄とは、家庭裁判所に対し相続人たる地位を放棄すると申述することです(民法938条)。これによりその相続人は最初から相続人でなかったことになりますから、被相続人(亡くなった人)の預貯金や不動産などのプラスの財産のみならず、マイナスの財産である債務も含めた全ての遺産を相続しないこととなります。
有効な相続放棄をするには、ただ「放棄しました」などと言ってもダメで、必ず家庭裁判所に「相続放棄申述書」という書面を提出して行う必要があります。
このように、相続人にとって酷な結果を防ぐために認められたシステムが、相続放棄です。